『ドキュメント 会計監査12か月』を読んでみた。

衝動的に本を購入することがある。ふらっと入った本屋やインターネットで何気なくみつけた本などだ。購入するときは気持ちが高ぶっており、いきおいで購入してしまう。購入してしまうが、日常生活に埋没しているうちに手に取らなくなり、本棚や机の隅に長いときは数年ものあいだ埋もれることになる。

『ドキュメント 会計監査12か月』という本が長いあいだ家の本棚にはいっていた。USCPAのAuitの科目を勉強していた頃、会計監査に関する本を読み漁った。そのときに購入したものだ。本棚にあるこの本がときおりちらちらと目にはいり気になってはいたが、どうにも読む気がおきなかった。勉強していたころは監査の概要やポイントが書いてある解説書のようなものを探していたため求めていた情報と異なっていたからだ。

試験も終わり好きな本を好きなだけ読めるようになった。久しぶりに本棚を隅から隅まで整理し『ドキュメント 会計監査12か月』を手にとった。会計や監査についての解説本や小説風の本はたくさんある。が、等身大の会計監査人がドキュメント風に心情を吐露しながら日常業務について語る本はこの本以外にはないのではないか。内容自体はフィクションなのだろうが、他のストーリー形式の会計や監査の本と比べると突出して地味に生々しく監査法人勤務の会計士の日常を描いている。

会計士の資格自体は有名だが、監査を行う会計士の日常を描いている本は皆無だ。内容が専門的でとっつきにくいのと、走ったり怒鳴ったりといったアクションがなく、数字の妥当性や基準の適用についてお客さんとやりとりをするという地味な作業が多いからだろう。大げさなアクションや悪と戦うといったわかりやすい設定はない。ないが、将棋や囲碁のようにその道の専門家ならでは理解できる奥深さや楽しさがあるのだと思う。そうしたありのままの面白さを変にストーリー仕立てでわかりやすくせずに伝えようとしているように感じた。

正直、会計や監査に興味がない人が読んでも面白いと思わないと思う。ただ少しでも興味がある人にはどんな本よりも面白く感じる本だと思った。