『岳』、『BLUE GIANT』を読んでみた

漫画を読むのが好きだ。以前は、会社の帰りや週末によく漫画喫茶に通っていた。ジュースやお菓子などは食べず、小一時間程ひたすら漫画を読む。本棚に並んでいる本をみながらどの本を読もうか考えるのが好きだった。自分なりのストレス解消法だったのだろう。今は、スマホ電子書籍を買って読んでいる。漫画喫茶にいくよりお金はかかるが場所を拘束されない。信号待ちやレジ待ちなど日常生活のちょっとした空き時間に少しづつ読みすすめられる。

BLUE GIANT』を読んでみた。正直、ジャズには興味がなく、あまり乗り気ではなかった。が、いつも面白い本を紹介してくれる知人がすすめていたので読んでみた。面白かった。なにかを好きになり、人生を賭けてとことんこだわる。そうしたことが幸せな生き方の一つの形なのだろうと感じさせてくる漫画だった。何かを好きになることは簡単だ。だがそれをとことんつきつめるのはむずかしい。日々の生活もあるし、家族など自分だけの問題ですまないこともある。そうしたしがらみを振り切ることは勇気がいるし並大抵のことではない。『BLUE GIANT』の主人公 大はサックスが好きで一日中ずっと吹いている。サックスを極めて自分の音を多くの人に聞いてもらいたいというのがその原動力だ。ただそのためだけに愚直に精進する。いやなことやうまくいかないこともあるがあきらめない。そこには打算はない。あるのは情熱だけだ。

中年期にさしかかってくると、人生は打算でしかなくなる。お金の計算とリスクを回避することが習性として身につく。何かやりたいことがあっても、お金とリスクを天秤にかけ大人の判断をしてしまう。だからこそ大のような一本気な生き方に惹かれるのだろう。中年のおじさんにとってはそういう生き方はもはやファンタジーだ(いい意味で)。

BLUE GIANT』を最新刊まで読んだ後、同じ作者の『岳』を読んだ。山岳遭難をテーマにした話だ。こちらも面白かった。山男の主人公 三歩が北アルプスの山岳地帯で遭難救助のボランティアをする。山を登るという行為は自己責任だ。高く険しい山があり、危険をかえりみずにのぼる。運がわるく遭難する人もいれば、あきらかな準備不足で遭難する人もいる。だが、なにがあっても三歩は遭難者を責めない。元気になったらまた来いという。山が好きで山を登る人も好きで、ただそのことを人生の軸として生きている。まっすぐなのだ。生き方が。収入がどうしたとか、結婚はどうするとか、そういったことは度外視だ。山登りはほとんどしたことがないが、よむと山にいきたくなる。そんな漫画だった。