世界の回し方

正月が苦手だ。時間はいっぱいあるが有意義に利用できた試しがない。食べて寝て、ときどき漫画や映画をみて、家族とすこし出かける。それだけで1週間がたってしまう。読もうとしていた本も読み終わってないし、やろうとしていたこともできていない。やっぱり仕事がないとダメだと痛感する。

 最近、世界の回し方についてよく考える。石塚真一さんの『BLUE GIANT』の続編『BLUE GIANT SUPREME』の2巻目に、こんな話がある。大学に入ったばかりの学生がヨーロッパを旅行をする。ユースホステルを泊まり歩く貧乏旅行だ。ある時、ロンドンのユースホステルで奇妙なジョージア人に学生は遭遇する。ユースホステルの玄関先の喫煙所に学生が行くと、必ず現れる。いついっても絶対に現れる。そしてタバコを1本くれないかと聞いてくる。ケチで妙なやつだと思いつつも学生はタバコをあげていた。ある晩、真夜中に眠れず、学生はタバコを吸いに外へでる。そのとき、急な腹痛、とてつもない腹痛に襲われ学生はうずくまる。例のジョージア人が現れ、学生の異変に気が付いた彼は、耳が壊れそうな大声で「誰か助けてくれ!」と何度も何度も叫び続ける。そのおかげか、学生は病院に運ばれ、2日後に無事退院する。ユースホステルに戻り、学生が喫煙所にいくと、いつものようにジョージア人が現れる。学生が礼をいい、タバコを一箱丸ごと渡そうとすると、彼はそこから1本だけタバコを抜いて「ありがとう」という。その時、学生は思う。世界はこうやって回っているんだ。こう回さなきゃいけないんだと。

 怒りや嫉妬、憎しみではなく、さりげない親切、思いやりや気遣い、そうしたものが中心となって世界は回さなきゃいけない。最近本当にそう思う。仕事の回し方にもいろいろあると思う。きつい言葉で怒りをぶつけ、お金や地位で嫉妬心をあおり、競争相手に憎しみに近い感情を抱きつつ進める方法もあれば、お互いに融通しあい、感謝しあい気遣いながら進める方法もあるだろう。どのような回し方でも、仕事は回るのだと思う。回るのだと思うが、どちらの世界で働きたいだろうか。これはどういう風に回っているかというよりも、個々人がどういうふうに回しているか、回そうとしているかという問題だと思う。忙しいときや心が荒んでいるとき、ついつい怒りを軸にして仕事をしてしまうことがある。怒りによって世界を回すと、怒りが怒りをよび、そのような力で世界がまわってしまう。非力ではあるけれども、自分はそうならないように世界をまわしていきたいと思った。

ここまで書いていて、もともとは2018年の抱負を考えようとしていたことを思い出した。テクノロジーの現実世界への影響力がどんどんを大きくなっている。ロボティクス、ディープラーニングブロックチェーンなどの技術が今年も大きなインパクトを社会に与え続けるだろう。一介のエンジニアとして、自分が働いている組織にそれらのテクノロジーが与えるインパクトを見極め、率先して取り込んでいきたいという目標はあったりする。ロボティクスやディープラーニングが普及すれば、定型的な業務は機械にまかせ、人間はより創造性のある業務に従事することが可能になる。ブロックチェーンなどの技術が普及すれば、ものの存在や何かの情報を保証するための業務というものから人間は解放されるだろう。今年はそういったテクノロジーを理解し、現実の業務に適応していくことで自らの血肉としていきたい。

また最新のテクノロジーを理解するうえで、数学と統計学の知識不足を痛感する。今年はそのあたりの知識の強化も一つの目標としようかな。